公開: 2022年10月5日
更新: 2022年10月5日
19世紀末から20世紀初めの優生思想を研究していた統計学者の中に、劣った遺伝子を持っている人々の遺伝は、優れた遺伝子を持った人々の遺伝よりも大きな影響を社会に与えるという考え方が信じられていました。特に、米国社会では1930年代にその考え方が広く支持されていました。ナチス・ドイツの優生思想は、そのような米国社会の影響を受けていたと言えます。
米国の研究者の中には、人種と知的な能力との関係を調査して、アングロ・サクソン系とスカンジナビア系の人種の能力が高く、中国系や日系の人種の人々の能力が低いとされていました。このような研究結果が、第2次世界大戦中の米国社会における日系人の強制収容などの政策に影響を与えていたと考えることは、論理的に大きな飛躍があるとは言えないでしょう。日本社会における朝鮮系の人々に対する偏見と同じように、米国社会における人種的偏見を生み出していたと言えるでしょう。